Gushwellの読書ノート

日本の小説を中心に、様々なジャンルの読書記録
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霊長類 南へ - 筒井康隆

再読。全面核戦争で人類が滅亡する話で、パニック状態に陥った人間達の愚かさ醜さ残酷さを扱った筒井流喜劇。
40年以上前に書かれた作品だけれど、まったく古さは感じない。ここに描かれている話は、核戦争で人類が滅亡する話であるにも関わらず、実にばかばかしく滑稽だけど、尋常ではない表現は、さすが筒井康隆とその凄さを感じる作品です。これは、筒井作品の中では初期の作品ですが、もし、いちばん脂がのっている時期に書いたとしたら、もっとすごい事になっていたんじゃないかな。

今だと絶対に書けないと思われる表現などもあり、それが余計に刺激的。最後に生き残ったのがゴ〇〇〇というのも...
絶版になっているのは残念ですね。


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アンジェリーナ - 小川洋子

「アンジェリーナ」「彼女はデリケート」「クリスマスタイム・イン・ブルー」「ガラスのジェネレーション」「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」「情けない週末」など、佐野元春の代表曲にのせて、小川洋子が奏でる10のちょと不思議な恋の物語。

それぞれが、独特の雰囲気を持った作品で、なかなか面白かったです。その中で、駅のベンチに置き忘れたバレエシューズを拾った男性とその持ち主の出会いを描いた「アンジェリーナ」と
図書館で出会った男性から預かった猫のペーパーウェイトが語りだした恋の物語「バルセロナの夜」はとても良かったです。ただ、全体的にみると記憶に残る話が少ないかなと感じました。

佐野元春の歌詞の一部が物語の中に挿入されていて、それを見つける楽しさがあるるけど、ちょっと無理矢理感を感じたものもあったのが残念。

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猫を抱いて像と泳ぐ - 小川洋子

なんと言ったら良いのか語彙の少ない僕には言い表せませんが、独特の雰囲気をもったこの作品に引き込まれました。

バスを改造して暮らしているチェス好きのマスターと出会い、チェス教わり、自分の居場所を見つけることができたリトル・アリョーヒンの数奇な人生を綴った静かで美しく優しく、そしてちょっと哀しい物語です。
チェスのことは駒の動かし方を知っている程度だけれど、チェスの奥深さ、美しさが伝わってきます。
相手を打ち負かすためにチェスをするのではなく、相手と調和し、美しく詩のような棋譜を紡ぎだするリトル・アリョーヒンの姿は、とても魅力的でした。

世間一般の成功とはかけ離れているけれど、8×8の小さな盤上で無限の旅を続けた彼は幸せだったのだろうと思います。

読み終えるのが惜しいと思う小説はそれほど無いですが、これはまさしくその一冊。本当に素晴らしい作品に出会えたことに感謝です。


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悲しみの歌 - 遠藤周作

若い頃読んだのを再読。
「海と毒薬」の続編と言われる作品で、戦時中に人体実験に参加した勝呂医師のその後を描いています。
読んでいて、辛く苦しくそして哀しくなる作品ですが、ページをめくることはやめられない、そんな力を持っています。

「海と毒薬」から30年、罪の意識に苦しめられ疲れはて生きる希望を見いだせない勝呂医師。勝呂医師の過去を穿り出し新聞記事にする正義を振りかざす折戸。そして、人の悲しみを自分の悲しみと感じ、人を赦し救いたいと感じるフランス人のガストン。この三人の対比が秀逸だと思います。
人を裁く事、人を赦す事の意味について考えさせられます。
先の見えない今だからこそ読んでほしい作品です。

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ねむり - 村上 春樹

評価:
村上 春樹
新潮社
¥ 1,890
(2010-11-30)

はじめて村上春樹を読む。今まで特に意識して読まなかった訳ではないけど、なんとなく読む機会が無かった。これは図書館でたまたた目に留まったもの。

この作品(短編)は、眠れなくなった主婦の不思議な物語。現実なのか非現実なのかが分からなくなっていく彼女の心の動きがとても面白い。

眠る必要が無くなったら、それは嬉しいことなのか、それとも... やはり「ねむり」は必要だな。そんなことを考えながら読んだ。

主人公の心理がすごく面白いのだけれど、終わり方がとても唐突で、どう解釈したら良いのかがわからなかった。もう少しストレートに解釈ができる終わり方が良かったな。

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その他日本の小説 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

小暮写眞館 - 宮部みゆき

久しぶりに読んだ宮部みゆき作品。
家族、友情、恋愛などが高校生の視点で描かれる青春小説。火車や理由、クロスファイアなどの社会派小説がお気に入りの僕としてはちょっと物足りなかったけど、この700ページを超える長い小説に飽きる事無く読めたのはやはり宮部みゆきの力なのかな。
それぞれのエピソードは、離婚だったり、不登校だったり、家族の死だったりと軽く扱う事の出来ないものだったりしますが、希望を持たせるラストを用意してくれているので、沈鬱な気持ちにならず、前向きで、ほんわかと温かい気持ちになれました。
英一と順子の再会は来るのかな。

本のカバーの美しい写真もとても良いですね。

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プロフェッショナルな修理 - 足立 紀尚

とても興味深く読む事が出来ました。着物、仏壇、椅子、ピアノ、スクーター、絵画などなど僕の知らない修理の世界、職人さんの世界がありました。
僕が知らないだけで、日本にもこういった修理の需要が結構あるんだなーと、勉強になりました。

この本を読んで、職人さんの仕事にものすごく憧れてしまいました。一つのことを極めるということはどんな分野でもすごい事ですからね。


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ノンフィクション | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

オリンピックの身代金(下) - 奥田英朗

評価:
奥田 英朗
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 740
(2011-09-23)

10月10日の東京オリンピック開会式にむかって、複数の時間軸が徐々に一つに重なりあいクライマックスになる構成は緊張感があり見事だと思います。
主人公の東大院生の島崎とそれを追いかける刑事の落合、それに島崎の同級生で警察官僚の息子でTVマンの須賀、この3者の視点で物語が進んでいきます。

歴史的事実からしてラストがどうなるかはある程度想像できてしまうのですが、それでも手に汗握る展開にのめり込んでしまいました。
島崎と行動をともにした中年のスリの村田の描き方も実によかったです。二人が起こした事件は犯罪とは分かりつつもなんとか逃げ延びてほしいと応援している自分がいました。
昭和の高度成長期にあった光と陰を浮き彫りにした社会派小説でした。

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オリンピックの身代金(上) - 奥田英朗

評価:
奥田 英朗
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 740
(2011-09-23)

戦後の昭和復興期に存在した大都市と農村地方の貧富の格差。東京オリンピックの開催準備で浮かれている日本人の中で、この格差に疑問を持ち始めた主人公島崎国男に自然と感情移入してしまいます。
今後彼がどんなふうに国に挑んで行く事になるのか、どんな運命を辿る事になるのか、下巻が楽しみです。
複数の時間軸で展開されるストーリーは、緊張感があり読み応え満点です。
それにしても、今まで読んだ奥田英朗の作品とは180度趣きの異なった作品で全く別の作者が書いたのかと思わせるほどでした。

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狐笛のかなた - 上橋菜穂子

ファンタジーを読んだのは久しぶりです。そして、初めて読む上橋菜穂子の作品。
児童文学ということでしたが、大人が読んでも十分に楽しめる作品ですね。
人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ主人公・小夜の純粋でまっすぐでひたむきな心が胸を打ちます。
また、この手の和風ファンタジー作品を読んでみたいと思いました。

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